勝負パンツ
深夜に尋常ならざる腹痛で目が覚めた。
それは今まで経験したどんな痛みとも違い、強さも桁違いだった。
私は寝ていた弟を起こし、救急車を呼んでもらった。
大ごとになってしまったと焦りつつも、痛みに意識を支配され、付き添ってくれる弟を気遣う余裕もない。
搬送先の病院には既に連絡が入っていて、消化器系の医師が迎え入れてくれた。
その、消化器系の医師というのが…私の好みのタイプを忠実に具現化したような男性。
「助けてくれる人」という位置づけもあり、のせられたストレッチャーの上でうろたえてしまうほどの一目惚れだった。
原因がわかるまで検査入院しましょう、着替えなんかは弟さんに持ってきてもらえますか?という看護師の言葉に私は我に返った。
そしてすかさず弟を呼び、「あのね、何はなくとも眉毛描くペンシル持ってきて。それから下着は2番目じゃなくて3番目のひきだしのを持ってきてね」と頼んだ。
眉毛なしの間抜けな顔と、よれよれのパンツで素敵な彼に検査してもらうなんて、ありえない。
面倒くさそうに「パンツなんて何番目のやつだっていいじゃないか。この非常事態に」と言う弟を、苦痛に顔を歪めながらも「違う!3番目の方が勝負パンツなんだから!」と叱責した私は、その場に居合わせた医療スタッフたちに爆笑され、入院期間中、皆から「勝負パンツさん」と呼ばれたのであった。
勝負カラーコンタクト
今ではギャルの必須アイテムとして定着しているカラーコンタクト。
そのカラコン&つけまつげ&バッチリメイクで、まさに「素顔→整形後」「男→女」になれるほどの、超変化アイテムだ。
どこをどういじったら、あの素顔があのギャル顔になれるのかは、今でも謎だ。
特にギャルたちは、プリクラ世代がほとんどなので、どうしたら「ドヤ顔」でかわいらしい角度で写真に写るか、魅力的な角度で人に見てもらえるかという必殺技まで持っている。
知り合いのギャルにコツを聞くと、上目づかいにカラコン入りの茶色の瞳でカメラを見つめ、口はちょっと開き気味でドナルドダックみたいに口を突き出してみたり、口角を上げて歯を見せるのがポイントらしい。
タイでは大きく、愁いを帯びた黒目を持った女性が美しいと言われるので、カラコンを使う若者が多い。
さらに、タイでは紫にハートや星型が入ったカラコンもある。
片目で2000円ほど。
タイの屋台の食事が100円ほどという価格から考えても、タイでのカラコンは、かなりの高級品だ。
私は近眼なので、いつもは1dayの使い捨てコンタクトを使っている。
その上左右の度数が違うので、右目用と左目用のコンタクトを定期的に買わなくてはいけないので、おそらく今まで生きていた中で、お酒の次にコンタクトや眼科代にお金を使っていると思う。