人間以外の動物が好きな理由
子供の頃は、ドッグトレーナーになりたかった。
それと同時に、動物園か水族館の飼育員にもなりたかったし、トリマーと獣医にもなってみたかった。
残念ながら、今そのどれにもなれていない。
飼育員は学芸員の資格がないとだめで、私は学芸員資格が取れる講義を大学で受けなかったし、獣医になるには理数系の頭脳がからきしなかった。
けれど、私はそういう仕事に一通り憧れを抱くほどに動物が好きだ。
昔から、人間よりも、人間以外の動物の方に愛情を感じていた。
それは、かわいいからだと思っていた。
もちろんそれもあるのだが、どうやらそれだけではないみたいだ。
意思の疎通、という点に大きなポイントがあるらしい。
人間は、言葉は通じるし表情を見ただけで、大抵の場合は何を考えているかの大枠を感じ取ることが出来る。
ところが、それ以外の動物に関しては、大抵の場合がよく分からない。
しっぽを振っているんだから喜んでいる、というような通説だって、所詮人間の想像でしかないのだ。
けれどもどうやらそれだからこそ、動物が好きらしい。
意思の疎通が滑らかであれば、自分を否定されることもある。
でもそれが曖昧であれば、仮に実際は否定されている場合でも、こちらはそうと知らずに平和な一日を過ごせるのだ。
まあ結局は臆病だというところに落ち着くのだろう。
最近ではそれを理解したから、逆に猫かわいがりをしなくなった。
何を考えているのか分からない相手に、まるで子供に話しかけるようにかかるのは滑稽だ。
相手はものすごくクールな性格だったらどうするのか。
だから、極力大人の人間に対するような関係を築こうと努力している。
それもそれで、傍から見たら滑稽かもしれないが。